【当たり前の有り難さ】人生で一番大切なことは大腸がんが教えてくれた

 

 

こんにちは 心笑庵(@shinsyoan777)です。

 

何度かお話しているように、私は数年前直腸がんになり、一時的に人工肛門となりました。
腰辺りにいつもパックをぶら下げている生活を約半年続けたわけです。
それまで健康的とは言い難い生活習慣でしたが、まさか自分がガンになるとは夢にも思いません。

 

その時のことはまたいつか詳しく話そうかと思いますが、人工肛門から元にもどしてからが更に大変でして。私の想像を遥かに超える苦しみがその後待っていました。

 

「ようやくパックの交換作業から開放される。これからは楽になるぞ。」

 

そんな甘い考えは直ぐに吹き飛ぶことを当時の私は理解していません。もしあの時の自分に声をかけるとするなら

「おい!哲雄。これからが一番苦しいからな。覚悟せなんぞ!」

といったところでしょうか。

 

 

ということで今日の一言

「美味しく食って 出たら喜べ それが健康の証」

 

直腸ガンを経験した私だから身にしみて感じること。

当たり前にできることは失って初めてそのありがたさに気づくのです。

(※今日の話には汚い描写が出てきますので嫌な方はご遠慮ください。)

 

目次

地獄の入り口へようこそ

 

私の身体にできたガンは非常に厄介な場所にありまして、肛門から数センチ上の直腸部分です。

ちょっと専門的な話になりますが、ここには内肛門括約筋というものがあります。

 

排泄ケアナビより引用

 

図から分かるように内肛門括約筋は腸の筋肉の一部で、平滑筋という自律神経がコントロールする筋肉です。そして内臓の筋肉の一部である内肛門括約筋は、おしりを締めようと意識しなくても、自律神経のはたらきでおしりを締めてくれます。

 

しかし私のガンはこの内肛門括約筋のすぐ上にできていたため、患部を切除してしまえばもしかしたら内肛門括約筋が機能せず、自分で排便をコントロールすることができなくなるという結果も考えられました。

 

お医者さんからも

 

「もしかしたら永久に人工肛門にしておいたほうがいいかもしれません。そこの判断はしっかりしていきましょう。」

と言われていたほどです。

 

しかし当時の私は

「この先ずっと人工肛門での生活をしていきたくはないな・・・」

そう感じていましたので、一時的に人工肛門になり、再び結合手術をするという道を選択。

 

この後の困難をこの時はまだ知らず

 

それは2017年12月の上旬。ちょうど今ぐらいの時期です。

朝晩冷え込み、街はクリスマス、年越しへ駆け足で歩を進めています。
病院で検査を受けて、入院初日の夜。消灯された個室部屋の天井を見ながら色々な思いが頭をよぎります。

 

「これまでの不摂生がいかんだったけど、命が奪われるわけではないから運がよかったと思わなんな。」

「病院で正月を迎えることになる。年末の忙しい時期に従業員に迷惑をかけてしまい申し訳ない。」

「しばらくは苦しい生活になるかもしれんけど、がんばらなんな。」

 

その日は考えが次々と湧いてきてなかなか寝付けませんでした。

 

そして次の日、無事手術が終わり、毎日腰あたりにパックをつける人工肛門生活が始まったのです。

 

腰付近からちょこっと顔を出す私の小腸。なんだかおへそが腰にもある感覚です。そこに強力な粘着テープで排便パックを取り付けます。取替作業も慣れればどうとないのですが、きつかったのが患部の被れ。

 

ずっと湿布を貼っている感覚といえばわかりやすいでしょうか?

気温が上がると汗をかきますから当然患部も蒸れます。しかし小腸からの排便は自動で行われ、私はどうすることもできませんのでパックはずっとつけていなければなりません。

ずっと蒸れにさらされた患部はジュクジュクに被れて、それはそれは痛いのです。
顔をしかめながらの生活でした。

 

そんな生活を半年継続し、いよいよ腸の再結合手術。

 

「ようやくこれで人工肛門生活ともおさらばだ。」

正直手術の不安というよりもこれまでの生活から開放されるという思いのほうが強かったと記憶しています。

 

しかし・・・

それは本当の地獄への入り口だったのです。これから起こる苦しみを経験した私は

 

「こんなことなら人工肛門生活に戻りたい・・・。」

心底そう思う程にまで追い詰められていくのです。

 

考えの甘さを痛感させられた術後

 

再結合手術も無事終わり、ほっとできると思っていた私の期待は見事に打ち砕かれました。

 

正直術後の状態は意識朦朧としてよく覚えていません。というのも眠れないほどの間隔でトイレにいかなければならなかったからです。

 

その数1日あたり100回以上。

朝夜関係なく1日の大半をトイレで過ごしました。

 

どうでしょう?
おそらくトイレの中に24時間中20時間くらいはいたのではないでしょうか。

 

入院部屋にトイレはついているので移動はしなくてよかったのですが、とにかく我慢ができません。もよおしたらそのまま出てきます。

1回トイレが終わり、立ち上がろうとするとまた出てきます。

自分の意志とは全く無関係に。

 

これは本当に地獄でした。

夜中もよおしてトイレでそのまま眠ってしまったり、着ているものが汚れてしまったり。

眠くて意識朦朧としながら情けない気持ちで着替えているとまたもよおして出てきます。

 

「一体私の身体はどうなってしまったのだろう?」

言うことを聞いてくれない自分の身体に絶望しながら心身ともに疲弊していきました。

 

この先こんな生活をしなければならないことに対する恐怖。もしかしたら間違った判断をしてしまったのではないかという後悔。頭の中は不安な気持ちで覆い尽くされていました。

 

「手術後は誰でもそのようになりますよ。」

先生からはそう聞いていたのですが、私は大丈夫だろうと楽観視していました。
実際そうなってみるとショックです。。

 

「こんなはずではなかった。」

ガンを切除し、人工肛門になったときとは比較にならない苦難の道が目の前に現れたとはじめてその時自覚しました。

 

季節は梅雨。

病室の窓から外を眺めると、世界を覆い尽くさんばかりのドス黒い雲。

そこから絶え間なく雨が落ちてきます。

 

これから雨が上がり、世の中は活気あふれる夏に突入していくというのに、私の心に広がる分厚く暗い雲は、止みそうにないほどの雨を振らせていました。

 

直腸がんが私に教えてくれたこと

 

その後退院し、自宅に戻ったのですが、症状は相変わらず。やむを得ないためそれからの食事は1日1食にしました。

それでも1日に平均して50回。トイレに駆け込む日々が続きます。

常に冷や汗、歪む顔面。

1日中頭の中はトイレのことばかりです。

 

想像できますか?

1回に5分間だとしても、1日で換算すると4時間強もトイレで過ごしていたことになります。

 

何度もウォシュレットを使い拭くせいでお尻は被れてヒリヒリしますし、車を運転している最中もよおしてしまえば直ぐにトイレにいかなければなりません。

ですから、

どこにどんなトイレがあるか?
何室備え付けてあるか?
トイレットペーパーの質はいいか悪いか?
人は多いか少ないか?
ゆっくり時間を気にせず入っていられるか?

 

「次トイレにいくとしたらどこだろう。あそこよりもこっちが近いか・・・」

さながらトイレ博士といえるほど生活圏内にあるトイレについては詳しくなりました。
誇っていいのかわからない知識です。笑

今では笑って話せることですが、当時は正直参っていました。

 

車の中にいる時にもよおした時には、必死に我慢するため常にしかめっ面をしていたので、信号待ちで顔を見られた人はおかしく思われたでしょうね〜。(いつもひょっとこみたいな顔をしていました。笑)

 

でも本当に地獄のように辛いことなんです。

だって便が出てホッとしてトイレから出た瞬間、またトイレに戻らなければならない時もザラにあります。トイレの数が少なく、次に待っている人がいたときなんて最悪です。

 

「すいません。」

何度頭を下げてトイレに戻ったかわかりません。本当に情けなかった。

 

そうですね〜体験してない人にわかりやすく説明すると、お腹を壊しトイレに何度もいく日々がず〜っと続いている感覚です。本当にず〜っと。

 

想像するだけでゾッとするでしょ?笑

 

それは術後2年以上経った今でも続いていて、幸い昔ほどではありませんが1日10~20回はトイレに行っています。(食事はありがたいことに1日3度に戻してもこれくらいで済んでいます。)

 

ここまで来るのに苦労しましたけど、悪いばかりではありません。

 

普通に食べれて、普通に便が出せる。

普通に眠れる。

普通に目が覚める。

普通に歩ける。

などなど、

普通にできることがどれだけすごいことなのか。当たり前にできることがどれほどありがたいことなのかに気がつくことができました。言葉にすると簡単なことですが、これは本当にそう思います。

 

ありがたい=有難い

つまり有ることが難しいということ

 

当たり前は実は有難い状態なんだ。

 

「だから”当たり前”に感謝しなければならない。」

 

普段わたしたちが普通に生活できていることは素晴らしいことなんだと身にしみて感じられたからこそ、身体に少しでもいいものを与える気持ちが芽生え、今では基本野菜中心の食事をし、タンパク質もしっかり取るようにしています。
以前はほとんど炭水化物ばかりの食事だったので、えらい変わりました。笑

家庭菜園も始め、自家製野菜もたくさん食べています。
やはりとれたてはひと味もふた味も違いますね!

おかげでスリムになり、周りからは若返ったと言われ気を良くしております。笑

 

食事、健康、人との出会い、今身の回りにあるもの

一つ一つのこと、その全てが有難いということに気づけたこと。

これはガンから私に授けられた大きな学びです。

ガンは私に「感謝の心」を改めて与えてくれました。

 

つらく苦しい時間でしたが、今ではガンになったからこそ一皮むけることができたと感じております。私には必要な経験でした。

 

改めて今日の一言

 

最後に改めて今日の一言

「美味しく食って 出たら喜べ それが健康の証」

当たり前のありがたさは失って始めて気がつきます。

できることなら今のうちに気づいておきたいですね。

 

誰かのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

きつい目に遭うとできるだけそのことを隠して生きてしまいがち。

「人に相談なんかせずに、自分だけで解決しなければ」

こういう人も多いのではないでしょうか?

 

特に真面目でまっすぐな人ほどその傾向が強いように思います。

「こんなに頑張っているのに・・・」

と思いながらも自分の中だけに溜め込んでしまうと行き場のない思いはいつしか自分自身を傷つけてしまいます。

 

人は頼られると嬉しい生き物です。

勇気を出して自分のことを曝け出すと、自分にとっても相手にとっても実はいいことがあるんですよ。
そんなことを書きました。

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私は長年経営していたスーパーをやめて、現在は創作活動をしながら地域を盛り上げるような活動を行っています。


これまで本当に山あり谷ありの人生を送ってきて、決して順風満帆ではありませんでした。


幼い頃の貧乏生活、若い頃の度重なる挫折、何度病院に通ったかわからないほどの病の連続、そして我が子の死。

思い返せば苦しい時期の方がはるかに長かった。

心が折れそうになったことは数知れません。


けれどいつも笑顔とユーモアを持ち続けてきた結果、今では自分のやりたいことで周りの人に喜ばれるような活動ができています。


こんな風な人生になれたのも人のためという気持ちを忘れなかったからだと感じます。

ここまで生きて来れて本当によかった。


悲しいことはありましたけど、私は私として人生を生きられることを幸せに思います。

ある程度年齢を重ね、人の喜び=自分の喜びだと今では深く感じています。

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この記事を書いた人

心笑庵 a.k.a 野中 哲雄(のなか てつを)

頭はこんな感じですが、坊さんではありません(笑)。

心笑庵という肩書きで創作活動をやっています。
2019年まではスーパーを経営しておりました。現在は創作活動を通して地域を盛り上げるために活動しています。

このブログでは私の現在の活動、そして紆余曲折の人生で学んだ人生の知恵をお伝えしていけたらなと考えております。

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